#君・僕・死で文を作ると好みがわかる

「ねえ、君は、しあわせ?」
「……なにを、とつぜん、」
「いーや。だって君、こういう時に聞かないと、答えてくれないと思うし」
「……」
「ほら、やっぱりだんまりじゃん」


 にへら。
 そんな感じで笑う少女が、とても薄く見えた。
 触ったら、溶けて、解けて、しまいそうな。


「僕は、しあわせだったよ」


 黒く、長く、触れることが恐ろしいくらいに綺麗だった少女の髪が、
 今は、目を逸したくなるほど、バラバラに切られた、それでも綺麗な髪が、少女の目を隠した。


「俺は、……」


 風に流された髪が、俺の目を隠す。
 視界が開けた時、少女は彼女になっていた。


「おれ、は、……」


 言葉が詰まる。
 ――幸せなんかじゃない。
 それだけが、出てこない。


「――どうせなら、さ。笑おう?」


 彼女はそう言って、笑う。
 ゆんわり、髪を揺らして、細めた目が光る。


「今は、しあわせじゃないから。だから、笑おう?」


 彼女の全てで、笑顔を伝えてくる。
 満面の笑み。
 それでも、涙だけが止まらない。


「……なあ、」
「なあに?」


 そんなく顔をされたら、俺だって。
 そうやって、笑ってみせるけど、口元が歪む。


「死にたく、ねえ、なあ」


 溶ける彼女は、またゆんわりと笑う。


「ん、――死にたく、ない、ね」


 少しだけ首を傾けて、えへへと笑う彼女に手を伸ばす。
 指先が触れて、感触を初めて知る。


「もう、離さない。」
「――絶対、ね!」


 光に溶ける彼女の手をしっかりと握って、強引に引き寄せる。
 唇が触れたような感覚がした。
 もう、感触は無い。視覚だけが、辛うじて。
 大好きな笑顔に、もう涙は無い。
 未来を見た瞳が、楽しそうに、「またね」と。