Fly Out

 夢を、見ていた気がする。

 真っ白な、箱のような世界。
 私はその世界に、独りで立っていた。
 視界の全てが白に染まって、眩しいと感じる。
 何かないのか。誰かいないのか。
 私は周りを見渡す。
 後ろを振り返る。そこは、白の壁にいろんな色で彩られた街が描かれていた。
 でもそれは、でたらめな色で彩られた、街とは言えないモノ。


 ――ココハドコ?


 不安ばかりが、心を埋め尽くす。


 箱の世界。
 半分はでたらめな色の街。半分は真っ白な壁。
 不意に、後ろで物音がした。
 そこには、真っ白な壁の何処かからこの世界に入り込んだ「ダレカ」がいた。


「帰ろう?」


 そう言って手を差し伸べた「ダレカ」を私は知らない。


 ――キミハダレ?
 ――ココハドコ?
 ――ワタシハナゼココニ?


 言いたいことは山ほどある。
 でも、今一番言いたいこと。
 それを口にした。


 ――ワタシヲココカラダシテ。


 「ダレカ」は私の手を掴んだ。
 瞬間。


 でたらめな色の街も。
 白の壁も。
 全てがはじけ飛ぶように消えた。
 そして、セカイが私の前に広がった。
 360度、まばゆいほど綺麗な世界。
 「ダレカ」に手を握られたまま。
 私は、涙を零した。
 それは、空を舞って、果てしないセカイの中へ、キレイに消えていった。